元祖脱力系マンガ『画本古鳥図賀比』

読みにくいタイトルですが
『画本古鳥図賀比(えほん ことり つがい)』
と読みます。
「図賀比=つがい」が大事なところで、
二つの事柄を対比させながら、
面白可笑しく描いている「画本=えほん」
ということなのですね。
では「古鳥=ことり」は何なのかというと、
明確な説明はどこにもないのです。
ただ、「つがい」という言葉から連想するのは「鳥」。
そのままだと言葉のリズムが良くないので
小鳥にすればいいところを、作者の何らかの意図によって
古鳥にしたのではないかと推測します。
対比されているものは
「祝儀」VS「不祝儀」
「養生」VS「不養生」
「大胆者」VS「臆病者」
「知者」VS「念者」
といった、老いてこそ面白味のわかる題材が並びます。
今回はその中で最も強烈な絵柄を取り上げました。
「大胆者」のページのもので、訳はこうなります。
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「あなたの鼻と私の鼻は、こうしたところでも
はなばなしい(「鼻鼻」と「華々」をかけている)出会いですね」
「鼻の下から手を出して爪を立てるから、それで
"鼻でかくなわ十文字(鼻が大きい・立派だ)"
ということがわかりやした。
なんとも、押さえるような仕草でございますね」
「なんだか私の目玉は
切り離しても飛び出るという勢いでしてね」
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この面白さが伝わりますか?
難しいですよね。
鼻の大きな二体の妖怪が、バッタリ遭遇して
互いに褒め合っているところへ
一つ目小僧が割って入り、
自分の目玉の自慢をするという場面です。
この古文書の文字がとんでもなく読みにくい上に
内容がこれまた難解なのですね。
多くの人に読んでもらうことが前提の大衆本でも
これはかなり読解力のある大人向けのマンガになります。
つくづく思うのですが、昔の笑いというものを
笑えなくても理解することが
現代人にとって最大のハードルではないでしょうか。

