天皇陛下のイギリス留学時代を語る書籍紹介

天皇陛下のイギリス留学時代を語る書籍紹介

少し前に、天皇陛下の学術研究テーマが水運だということに
関する記事を掲載しましたが、その最後の部分で陛下が20代の頃
オックスフォード大学に2年間留学されていた様子をまとめた
『テムズとともに』という書籍が
2023年4月復刊されたことに触れ、
このたび読了しましたので少しご紹介したいと思います。
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まず、この本の著者は天皇陛下です。
見聞きした話を他人がまとめて出版したものではありません。
天皇陛下が書いた本です。

ですから、とにかくやたら細かいというのが印象です。
そして本文中には挿絵・写真ゼロでものすごい文章量。
なかなか前に進みません(笑)。
※扉には地図や写真が複数あります。

留学からの帰国後7年経ってから初版が出されたようなので
回顧録という形式になっていますが、
単に回顧するだけではこれだけのボリュームにならないので、
日記をつけていたのだろうと思い読み進めていたところ、
やはりその通り、そうした記載がありました。

日々とても密度の濃い日常で、留学生は皆こうなのか?と思えるほど、
それこそ毎日が記念日のように感じられます。
確かに海外旅行に出かけた数日間でも、日本にいるだけでは
絶対に得ることのできない体験ができますから、
留学というのはそうなのかもしれません。

ですが、この本の核心部分にそう感じた答えが要約されています。
日本への帰国が迫った残りわずかな日々の記述にこうあります。

「再びオックスフォードを訪れる時は、
今のように自由な一学生としてこの町を見て回ることはできないであろう。
おそらく町そのものは今後も変わらないが、
変わるのは自分の立場であろうなどど考えると、妙な焦燥感におそわれ、
いっそこのまま時間が止まってくれたらなどと考えてしまう。」

自由な時間を過ごせるのは一生のうち2年間だけ。
だから、やれることは全部体験して、悔いを残さないようにやりきる。
洗濯やアイロンがけ、食事や買い物に至るまで、
わたしたちの当たり前は特別なこと。
だから毎日の出来事や時間が、それはそれは大切なものだということなんですね。

この本を読む方はほかの本のように、なんとなく気になってということではなく、
天皇陛下のことが知りたいから、とした明確な理由を持つはずです。
それは日本人としてはとても大切なことではないでしょうか。

これからの世の中は受難の中に突入していきます。
もう今すでにそれは始まっています。
日本を守り存続させていくため、
日本人に必要不可欠なものは日本精神だと思うのです。
アイデンティティといってもよいのですが、
日本はほかの国とどう違うのか独自性を理解し、
日本の要になるものを自覚することです。
それが天皇信仰だと私は思っています。

天皇論や皇室に関する書籍はたくさんありますが、
誰かが書いたものではなく、天皇陛下が書かれた本を読むのが
天皇への理解と自分が日本人であることを実感できる
最短ルートのような気がしています。

この『テムズとともに』(紀伊国屋書店)もしくは
同じく著者が陛下の、ご自身の研究内容に特化した
『水運史から世界の水へ』(NHK出版)に
ひとりでも多く興味を持っていただければと思い、
おすすめ図書として挙げさせていただくことにしました。

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